学内講座コード:403006
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主催:
早稲田大学エクステンションセンター [ 早稲田大学エクステンションセンター 早稲田校 (東京都) ]
講座名:
ギリシア悲劇を読む−エウリピデス作『メデイア』−
申し込み締切:
2013年12月31日 (火) 23:30
開催日時:
01/07~03/04(火)/10:40~12:10
入学金:
8,000円
受講料:
18,500円
定員:
30名
講座回数:
8回
講座区分:
その他
その他:
補足:
-
<目標>
現存するギリシア悲劇33篇のうち、エウリピデス作『メデイア』を精読します。黄金の羊毛皮を奪還せんと黒海の果てコルキスまで「アルゴー船」でやって来たギリシアの英雄イアソンに一目惚れしたコルキスの王女メデイア。イアソンとの結婚の約束を得、メデイアは父を裏切りイアソンを助けてギリシアへ。しかしいつしかイアソンはメデイアを一方的に離縁、コリントスの王女と結婚の約束をする。イアソンの裏切りに怒ったメデイア。イアソンへの復讐を決意し、苦しい逡巡の末、イアソンとの間に出来た2人の子を殺害した。
無垢なわが子を殺した母親メデイア。「メデイアは魔女」。男性中心社会の中で定着したメデイア像に一分の利もないのか?を考えます。
<講義概要>
罪のないわが子をわが手で殺した母親メデイアは本当に魔女か、恐るべき悪魔か。利害と打算を一義的に考える「文化人イアソン」がメデイアを捨てたことに何の非もないのか。ギリシア中華思想的見方によれば、ギリシアは優れた文明先進国。コルキスは文化果つる黒海の果て、古い神々を信奉し旧弊な儀式に捉われている野蛮国。本当にそのような単純な「西高東低」の機械的「差別」図式が正当化され得るのか? 女性(あるいは自然)は野蛮、男性は進歩進化した文明(反自然)、という単純な相対化は真実か。真に「人間的であること」とは一体どういうことか?
ローマのストア哲学者詩人セネカによる『メデア』は、彼女を徹底して魔女として描いています。セネカ悲劇がルネサンス以降ヨーロッパ世界に与えた影響は大きく、時代の思想や流行に合わせながら、フランスのコルネイユの『メデ』、ジャン・アヌイの『メデェ』などは、結局セネカの『メデア』に依る翻案劇。そして、それらによって西欧キリスト教世界では、伝統的にメデイアは恐るべき「魔女」、「怪女」というレッテルが貼りついて今日に至っています。
しかしながら倫理的、人道的、キリスト教的、あるいはフェミニズム的解釈に依らずとも、エウリピデス作品を熟読玩味すれば、そこに自ずと「真に人間的なるメデイア像」が明確に浮彫りされてくるはずです。受講生の皆さんの御意見、お考えを伺いながら、出来ることなら、固定したメデイアの「不本意なイメージ」を払拭したいと思います。
初回の講義でご紹介する参考文献4冊、セネカから三島由紀夫の「獅子」を読み比べて下さると、面白さ百倍です。
参考図書
『西洋古典叢書 エウリピデス『悲劇全集 』』(京都大学学術出版会)(4,200円)丹下和彦訳
<各回の予定>
(予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください)
第1~7回 テキスト全110頁を精読。随時、セネカ版『メデア』などとの比較検討等も加える
第8回 第7回に続き、テキスト読了。質疑応答。
※引き続き、補講日に鬼才パオロ・パゾリーニ監督の映画「王女メデイア」の鑑賞、説明・解説を行います。参加は全く自由です
<ご受講に際して(持物、注意事項)>
ギリシア神話と、それを基とすることを約束に深化、発展した人類最古の文学、人間悲劇の傑作集である「ギリシア悲劇」がどのようなものであるか、漠とした全体的なイメージでも持って臨んでもらえれば十分です。
<備考>
資料配付
名前 | 丹羽 隆子 |
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肩書き | 東京海洋大学名誉教授 |
プロフィール |
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