学内講座コード:2541K004
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主催:
東京都立大学オープンユニバーシティ [ 東京都立大学 飯田橋キャンパス (東京都) ]
講座名:
現代フランス文学入門 ミシェル・ウエルベック『H.P.ラヴクラフト 世界と人生に抗って』を読む
申し込み締切:
2025年12月26日 (金) 17:00
開催日時:
2026年1月10日(土)~2026年1月31日(土)/11:00~12:30
入学金:
3,000円
受講料:
10,100円
定員:
15名
講座回数:
4回
講座区分:
後期
その他:
補足:
-
【講座内容】
本講座では、ミシェル・ウエルベックの初期評伝『H.P.ラヴクラフト──世界と人生に抗って』(1991年)を扱います。この書物は単なる伝記ではなく、自身の文学観、特にリアリズムをめぐる葛藤を表明した重要なテクストです。
一般的にウエルベックは、現実の地名やブランドを多用し、現代社会の断片を細かく描写する「リアリズム作家」とみなされがちです。しかし彼は小説家デビュー前夜に、このリアリズムを「毒」であると断言していました。では、なぜその後の小説群ではリアリズム的技法が用いられたのでしょうか。その矛盾の核心を理解するために、「科学的描写の利用」や「平凡さを逆手にとった文体技法」に注目します。大枠としては、ウエルベックやラヴクラフトを知っている方も知らない方も楽しめる内容です。テクストは星埜守之訳『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』(河出文庫)を使用し、他に講師が原著や参考文献を翻訳付きで用意します。
【講座スケジュール】
第1回 2026年01月10日(土) ウエルベックとリアリズム批判
先行研究が強調してきた「バルザック的リアリズム」との比較を紹介しつつ、冒頭の「人生は苦しみと失望に満ちている。したがって、新たなリアリズム小説を書くことは無益だ」という挑発的な断言を手がかりに、作家の出発点を整理します。
第2回 2026年01月17日(土) ラヴクラフトの文体と科学的描写
ラヴクラフトの小説冒頭に頻出する「日付や時刻の明記」といった散文的文体が、恐怖を引き立てる仕掛けになっていることを検討します。
第3回 2026年01月24日(土) 主題としての現実──ラヴクラフトとウエルベックの違い
ウエルベックは、現実世界を「悪臭を放つ」とまで言い切りながらも、最終的には「目にしたことを書き直す」ことによって一種のリアリズムに回帰していきます。ラヴクラフトとの距離感を検討しながら、リアリズムの二つの側面(主題選択/技術的描写)を整理します。
第4回 2026年01月31日(土) 『ラヴクラフト』から『闘争領域の拡大』へ
1998年版序文でウエルベックは「ラヴクラフトのリアリズム嫌悪には追随しなかった」と明言しました。本講座の最終回では、この転回を『闘争領域の拡大』(1994年)と接続して考えます。この小説における「ごくわずかな一貫性=一種のリアリズム」という概念が、評伝の議論と呼応していることを確認し、ウエルベック文学全体におけるリアリズムの位置付けを総括します。
【参考書籍】
ミシェル・ウエルベック著、スティーヴン・キング序文、星埜守之訳『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』河出文庫、2025年
ミシェル・ウエルベック著、八木悠允ほか訳、『ウエルベック発言集』、白水社、2022年
単位数:1単位
※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
| 名前 | 八木 悠允 |
|---|---|
| 肩書き | 東京都立大学 客員研究員、東京都立大学・日本大学・立正大学 非常勤講師 |
| プロフィール | 東京都立大学・立正大学・日本大学ほか非常勤講師。専門はフランス現代文学、とくにミシェル・ウエルベック研究。訳書に、ミシェル・ウエルベック『発言集』、白水社、2022年。マルク・アリザール『犬たち』、法政大学出版局、2019年(共訳)。論文に「ミシェル・ウエルベックの散文におけるポワン・ヴィルギュル」(『リミトロフ』第一号)、翻訳にサミュエル・エスティエ「ウエルベック批評の十年」(共訳、『人文学報』、首都大学東京フランス文学教室、第514-15号)など。 |
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