学内講座コード:2441G101
この講座について質問する主催:
東京都立大学オープンユニバーシティ [ 東京都立大学 オンライン講座 (オンライン) ]
講座名:
【オンライン】「植物の力」を考える ~人類にとって植物とは何なのか~
申し込み締切:
2025年01月19日 (日) 23:30
開催日時:
2025年1月29日(水)~2025年3月19日(水)/18:30~20:00
入学金:
3,000円
受講料:
16,000円
定員:
60名
講座回数:
8回
講座区分:
後期
その他:
補足:
-
【講座内容】
「植物の力」を考える
~人類にとって植物とは何なのか~
東京都立大学オープンユニバーシティでは、オンライン スペシャル講座を開講いたします。オンラインならではの特性を活かし、全国の様々な研究者や専門家が登壇し、ユニークかつ興味深い講座を提供します。
今回は、人類誕生以前から存在し、人類を含むすべての動物の生存にとって不可欠な「植物」がテーマです。植物の有用性や未来に向けての可能性を、科学、歴史学、文学、哲学、芸術など様々な視点から探究します。
植物は、生物を大きく二大別した場合の、動物に対する一群と定義され、木や草に加えて藻類なども含みます。
一般に、1か所に固定して暮らし、細胞壁をもち、光合成を行って主に空気や水から養分をとって生きている生物です。種子植物・シダ植物・コケ植物・緑藻植物・紅藻植物などに分類されます(出典:小学館デジタル大辞泉)。
本講座では、当たり前のように存在している植物について、生態を含め植物が地球や人間にもたらす恩恵や影響力、すなわち「植物の力」について様々な視点から考えます。
日本列島には7、000種以上の陸上植物が自生し、そのうち約2、900種 (約40%)が日本だけに分布する固有植物です。日本の植物の種数密度と固有植物の割合は世界的にみても非常に高く、大切な生物資源となっています。
その大切な生物資源である植物の生態の興味深い研究や、作物・食物としての命を育む植物、光合成による二酸化炭素の吸収と酸素の放出による環境形成、草花・樹木の造形美、品種改良など様々な研究や事例を紹介しながら植物の有用性、人間との関係性について探究します。
講座コーディネーターは、本学「牧野標本館」管理責任者の理学部 村上哲明 教授が務め、植物学の専門家、歴史・文学・社会学などにも造詣の深い研究者など多彩な講師が登壇します。
【東京都立大学 牧野標本館】
「日本の植物学の父」と称される植物学者 牧野富太郎博士が採集した植物標本を中心に、藻類・コケ・シダ・裸子・被子植物など約50万点の標本を所蔵しており、国内外の研究者に広く活用されています。
さらに一般の方々にも活用していただけるよう、インターネットによる標本画像データベースの公開も進めています。
【講座スケジュール】
第1回 2025年01月29日(水) 植物分類学とは?:「シダ植物」に見る新しい植物分類学
日本の植物分類学の父と呼ばれる牧野富太郎博士の研究がもたらしたものは何か、さらに現在、牧野標本館で行われているDNA情報を最大限に活用した新しい植物分類学についても紹介します。後者については世界で約1万2千種類知られている「シダ植物」を対象にした研究を例に、解説します。
第2回 2025年02月05日(水) 人文学者の植物考
「植物を考える」とはどういうことか。植物は、人文学的課題に限ったとしても、底なしの深さを持つテーマです。人文学の視点から植物とはなにか、植物と人間とはこれまでどのような関係にあり、またどのような関係を作りえるのかについて、歴史学や文学や哲学などを横断しつつ、考えます。
第3回 2025年02月12日(水) 「数学の力」で紐解く「植物の力」
数理モデルを活用して生物(植物)の「なぜ?」を解き明かします。力学系やゲーム理論、シミュレーションという数理的手法が生物学の研究にどのように役に立つのか解析します。今回は、60年周期や120年周期で開花する「タケ」を例に、数理生物学について紹介します。
第4回 2025年02月19日(水) 身近な植物の賢い生きかた ― したたかな植物たちの生存戦略
植物は身近な存在ながら、人間とは姿形も生態も全く違います。一見頼りなげにも見える彼らの生きかたとは?昆虫とのかけひきと飽くなき攻防、乾燥に強い植物の高性能システム、葉のつきかたに隠された数列や黄金比など、不思議だが卓抜、たくましく賢い、納得の生存戦略について紹介します。
第5回 2025年02月26日(水) 日本の農作物(品種)はすごい ― 育種家たちの飽くなき挑戦
より美味で、かつ丈夫、収穫量が多く、栽培しやすい、誰もが夢見る新品種を生むべく、自然と格闘する仕事が育種家です。品種改良をめぐる歴史は、育種家たちの情熱の結晶でもあります。講義では、日本で改良された主な野菜と果物を取り上げ、その進化と普及の道筋を物語として紹介します。
第6回 2025年03月05日(水) 世界遺産「小笠原」の自然と生態系の保全 ― 植物を中心に
大陸から遠く離れた小笠原では「進化の見本」といわれる特異な自然がみられます。一方で、人間が持ち込んだ外来種により生態系の劣化がおこっています。なぜ、小笠原の生態系は外来種に対して脆弱なのでしょうか。小笠原の自然の価値や外来種対策の現状について、植物を中心に紹介します。
第7回 2025年03月12日(水) 植物たちの大航海:汎熱帯海流散布植物の自然史
植物の中には種子を海で散布することで、全世界の熱帯・亜熱帯域に分布を広げたものがいます。汎熱帯海流散布植物と呼ばれるこうした植物は、いつ頃地球に誕生し、どのように分布を拡大してきたのでしょうか?系統地理学により明らかになってきた汎熱帯海流散布植物の自然史を紹介します。
第8回 2025年03月19日(水) 対談:植物の夢をみる 植物を通して人間観を一新する
最終回は、著書『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞を受賞し、「ベランダー」として知られ、植物への並々ならぬ愛と屈折を抱える作家・クリエーターの いとうせいこう氏と、『植物考』の著者である京都大学 藤原辰史 准教授(本講座2回目の講師)の対談となります。藤原氏はいとう氏の「植物的思考」に感銘を受け、2023年11月にはお二人で『植物考』刊行記念オンライントークを実施しました。本講義では、植物に対するお二人の思い・考えを、多様な視点から語ります。
※アーカイブ配信(録画:7日間限定)視聴も可能です。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
※高校生の参加は無料です。8回シリーズの講座ですが、高校生は1回だけの参加も可能です。
単位数:2単位
※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
名前 | 村上哲明 |
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肩書き | 東京都立大学 大学院 理学研究科 教授、牧野標本館管理責任者(キュレーター)、兵庫県立 人と自然の博物館 館長(2024年4月~兼任) |
プロフィール | 東京大学 大学院理学系研究科 生物学専攻博士課程修了・理学博士。東京大学理学部附属植物園助手、京都大学理学研究科助教授、東京都立大学 大学院理学研究科(牧野標本館)教授・理学部長などを務める。2024年4月に兵庫県立「人と自然の博物館」館長に就任。専門分野は植物分類学、植物地理学進化学、保全生物学など。シダ植物の分類と進化の専門家であり、太平洋諸島、中南米マダガスカルなど世界中の熱帯地域でフィールドワークを展開してきた。日本植物分類学会会長、日本シダ学会代表。 |
名前 | 藤原 辰史 |
肩書き | 京都大学人文科学研究所 准教授 |
プロフィール | 人間・環境学博士。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2018年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『食べること考えること』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。2019年には第15回日本学術振興会賞受賞。 |
名前 | 立木佑弥 |
肩書き | 東京都立大学 大学院 理学研究科 助教 |
プロフィール | 博士(理学) 九州大学大学院システム生命科学府で学位取得。日本学術振興会特別研究員、日本学術振興会海外特別研究員を経て、現在、理学研究科生命科学専攻助教。専門は生態学、数理生物学。 生物にまつわる不思議について、力学系やゲーム理論などの数理的手法を駆使して解き明かす理論生物学研究を行っている。 生き物とサッカーをこよなく愛する。JFA公認D級コーチ、サッカー4級審判員。 |
名前 | 稲垣栄洋 |
肩書き | 静岡大学 大学院 総合科学技術研究科 教授、みちくさ研究家 |
プロフィール | |
名前 | 竹下大学 |
肩書き | 育種家・品種ナビゲーター、技術士(農業部門) |
プロフィール | 技術士(農業部門)。 千葉大学園芸学部卒業後、キリンビールに入社。新規事業としてゼロから育種プログラムを立ち上げ、プロジェクト中止の決定を乗り越えて同社アグリバイオ事業随一の高収益ビジネスモデルを確立。2004年には、All-America Selectionsが北米の園芸産業発展に貢献した育種家に贈る「ブリーダーズカップ」の初代受賞者に、ただひとり選ばれた。 独立後は、農作物・食文化・イノベーション・人材育成・健康の切り口から、様々な情報発信やコンサルティング等を行っている。 |
名前 | 可知直毅 |
肩書き | 東京都立大学 学長特任補佐、生涯学習推進センター長 |
プロフィール | 専門は植物生態学、保全生態学。とくに、世界自然遺産の小笠原の自然を次世代に引き継ぐため、野生化したヤギやモクマオウなど侵略的外来生物が小笠原の生態系に与える影響とその適切な管理手法に関する研究を行っている。共著書に『はじめてのえころじい』裳華房、『植物生態学』朝倉書店、『世界遺産の自然の恵み』文一総合出版など。日本生態学会前会長、日本島嶼学会副会長。 |
名前 | 高山浩司 |
肩書き | 京都大学 大学院 理学研究科 准教授 |
プロフィール | |
名前 | いとう せいこう |
肩書き | 作家・クリエーター |
プロフィール | 1961年東京都生まれ。早稲田大学在学中から芸能活動をスタート。講談社での編集職を経て、音楽や舞台、テレビなどでも活躍。小説『想像ラジオ』が第35回野間文芸新人賞を受賞、芥川賞候補となる。歌舞伎町でのエピソードを綴った『夢七日 夜を昼の國』ほか、著書多数。 |
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